差圧伝送器で使われる3バルブマニホールドについて説明します。メーカーや人によっては単にマニホールドとか、均圧弁とか、三岐弁とか言ったりもします。
3バルブマニホールドとは
3つのバルブで構成された差圧伝送器用の配管部品。高圧側、低圧側のストップ弁2個と、高圧側と低圧側の均圧にする均圧弁1個から構成されます。プロセス流体を遮断/接続したり、均圧状態を作るために使用されます。
通常、伝送器でマニホールドと言えばほとんど3バルブマニホールドのことを指します。ただし、日本ではマイナーですが2バルブや5バルブのマニホールドも存在します。
配管図
下の図は液体流量測定の導圧配管の例です。破線で囲った部分が3バルブマニホールドです。通常の運転中においては、高圧側と低圧側のバルブは開、均圧弁は閉となっており、差圧伝送器は高圧側と低圧側の差圧を測定しています。
3バルブマニホールドの操作手順
差圧伝送器の運転開始手順
- 元弁と高圧側・低圧側バルブは閉、均圧弁は開となっていること。
- 両側の元弁を開く。導圧配管内部が流体で充填される。
- 高圧側バルブを開く。伝送器の受圧部内部が流体で充填される。※このとき、均圧状態なのでゼロ点を示すはずですが、もし指示値にズレがある場合はゼロ点調整を実施してください。
- 均圧弁を閉じる。
- 低圧側バルブを開く。
- 完了。
操業中のゼロ点調整手順
- ゼロ点調整を始める前に、プロセス制御に支障が出ないようにDCS側でPV値を固定させておく。※「CALモード(横河電機CENTUMの場合)」「オーバーライドモード」など。
- 高圧側バルブを閉じる。
- 均圧弁を開く。
- 低圧側バルブを閉じる
- ゼロ点調整を実施する。
- 高圧側バルブを開く。
- 均圧弁を閉じる。
- 低圧側バルブを開く。
- 完了。DCSのモード設定を元に戻す。
差圧伝送器の停止手順
- 高圧側バルブを閉じる。
- 均圧弁を開く。
- 低圧側バルブを閉じる。
- 両側の元弁を閉じる。
- 完了。
以上です。操作手順は富士電機の圧力伝送器の取扱説明書を参考にしました。横河電機やアズビルの取説だと停止時は低圧バルブを先に閉じていますが、私個人としては高圧側での加圧状態となるのがイヤなので高圧側バルブから閉じるようにしています。
マニホールドの操作で最も重要なのは、とにかくバルブはゆっくり操作することです。圧力伝送器の受圧部(ダイヤフラム)は非常にデリケートな部品であるため、急激な変化で圧力が受圧部に加わるとセンサー故障の原因になります。高圧側と低圧側のバルブ操作を逆にしても問題が起こることはあまりないと思いますが、「バルブはゆっくり操作する」「高圧側、低圧側のバルブが両方開いてるときは均圧弁は開けない」の2つは覚えておいてください。
まとめ
- 3バルブマニホールドは、3個のバルブから構成される配管部品であり差圧伝送器の使用時に使われる。
- 3バルブマニホールドはマニュアルや取説の手順通りに操作すること。
- 受圧部に一気に圧力が加わると故障の原因となるためバルブはゆっくり操作すること。