令和6年度(2024年度)の1級計装士試験に合格したので、備忘録として記しておきます。ちなみに計装士試験の選択科目にはプラントと建築の2種類があり、私はプラントを選択しました。
全体スケジュール
計装士試験の全体スケジュールは以下の流れです。
- 4月:試験申込書の販売
- 5月初旬~中旬:試験申し込み受付
- 8月:学科試験
- 9月:学科試験の合格発表
- 12月:実地試験
- 2月:実地試験の合格発表
- 3月:合格証明証、登録証の交付
計装士試験の最大のハードルは申し込みにある、と言っても過言ではありません。まず、試験を申し込むためには申込書を請求する必要があります。申込書は1部550円です。日本計装工業会HPから請求用紙をダウンロードして印刷して必要事項を記入し、550円分の切手または現金を封筒に入れて申込書の請求を行います。なお、現金は現金書留じゃないとダメなので私は切手にしました。正直、この申込書請求が非常に面倒でした。
そして無事に申込書を手配できたとして、次は申し込みです。2024年度の申込み期日は5月17日でした。ゴールデンウィーク後の2週間で実務経験や必要事項を用紙に記入し、受験料の振込も済ませて、上司のサインまで貰わないといけないため、うっかりとしてるとすぐに締め切りが過ぎてしまいます。
申し込みが電子化されている電気主任技術者試験と比べると、計装士試験の手続きはかなりアナログです。試験の規模が小さいので仕方ないかもしれませんが、個人的にはぜひ改善してほしいと強く感じました。
受験資格
- 計装工事の設計・施工の実務経験年数5年以上
- 上記年数には指導監督的実務経験年数1年以上を含む。
- 実務経験とは,建築物その他の工作物もしくは,その設備において計測・制御・監視設備工事又はこれらの電気通信設備工事の設計・施工に従事することをいう。
- 指導監督的実務経験とは,現場主任技術者,工事主任・設計主任などの職にあって,部下を指示・指導・監督する業務,あるいは工事の施工管理業務に従事した経験をいう。
プラントエンジ会社の計装設計担当なら実務経験の年数を満たしていれば問題ありません。計装設計5年以上の実務経験があって、現地で据付指導や施工管理に従事した経験が1年以上あればOK。30歳前後、または30代の若手計装技術者にとっては、比較的取り組みやすい資格ではないでしょうか。
試験対策
計装士試験の対策ポイントを以下に挙げます。
- 計装設計の経験がある人は計装技術講習会(オンライン開催)を受講しなくてもOK
- 講習会テキスト(過去問)での学習が重要
計装技術講習会(オンライン開催)について
学科試験の1~2ヶ月前に計装技術講習会というものがオンライン開催されます。1回あたり2日間(9:00〜17:00×2日)の講習で、平日または土日に複数回実施されています。私は受講していないので詳細はわかりませんが、重要なポイントや出題されそうなポイントを教えてくれるそうです。オンデマンド配信で好きなタイミングで視聴できれば良いのにな、と正直思いました。
受講料は一般価格(会員以外)で22,000円。なかなか高額です。私は受講しませんでしたが、自信がない方や時間に余裕がある方は、受けてみてもいいかもしれません。
講習会テキスト(過去問)での学習
講習会テキストは購入を強くおすすめします。
計装士試験はマイナーな資格であり、出題内容もニッチなため、市販の教材では対策が難しいです。学科試験は知識で何とかなる部分もありますが、実地試験は過去問なしでは合格はほぼ不可能だと感じました。
実地試験ではフローチャート、論理回路図、工程表、図面の拾い出しなど、なかなか特徴的な問題が出題されるので、過去問で試験問題に慣れておくことが必須となります。
個人的に違和感を覚えたのは、フローチャートの記述方法です。これまで自分が見てきたフロー図と比べると、計装士試験のフローチャートは少し変わっていて「連動シーケンスのフローチャート」というよりは、ラダーの動作をフローチャートで表現したような形に感じました。本来、インターロックは一覧表やリストで記述するものだと思っているのですが、計装士試験ではフローチャートの中にインターロックまで書き込む形式で、正直少し戸惑いました。
令和6年度1級計装士実地試験の問題不備について
今回の実地試験では問題の内容に誤りがありました。具体的には「コンベアの自動制御の問題で、PLCのデバイス番号が問題用紙と解答用紙で一致していなかった」というものです。受験者の指摘で発覚したのか、試験時間がかなり経過してから「解答用紙に記載されたデバイス番号を正としてください」とのアナウンスがあり、試験時間が延長されました。
受験後にXで他の方のポストを読んで驚いたのですが、試験会場によっては試験時間の延長がなかったり、そもそもアナウンスすらされなかったところもあったようです。
合否発表のときに公式ページで「誤りがあった該当箇所は全て正解として扱う」と発表されましたが、運営体制への疑問が残る出来事でした。過去の問題の使い回しやチェック体制の不備が原因だと思われますが、仮に誤りがあったとしても、異常時の対応が会場ごとにバラバラなのは大きな問題です。試験の公平性を担保するためにも、こうした点はしっかりと改善していただきたいと思いました。
まとめ
以上、計装士試験について思ったことをつらつらと書かせていただきました。個人的に気になる点は多々ありましたが、プラントエンジニアリング分野で働く計装技術者にとって、非常に実務的で価値のある資格だと感じています。受験を検討されている方の参考になれば幸いです。