ピトー管式流量計の特徴や差圧計算について

ピトー管式流量計の特徴や差圧の計算方法について解説します。

ピトー管式流量計とは

ピトー管の特徴

画像引用:バーフローチューブ(多孔式ピトー管) | フローエンジニアリング株式会社

ピトー管は上の写真のように棒状の形状をしています。配管に対して垂直に挿入して流量を測定します。

詳しい測定原理は省略しますが、棒のところに全圧と静圧を検出する孔が設けられています。その差圧(動圧とも呼ぶ)を測定することで配管内を流れる流体の流速がわかるという仕組みです。多孔式ピトー管と呼ばれるタイプは棒に孔が複数設けられており、それらの平均流速を計測することができます。ピトー管から出た2つの配管(写真上部)は差圧伝送器の高圧側、低圧側に接続されます。差圧伝送器で開平演算処理によって差圧から流量に換算されます。(DCS側で換算する場合もある)

用途としては大口径ダクトの排ガス流量測定などに使用されることが多いです。大口径(300Aとか500A以上)のダクトはオリフィスでは製作不可または非常にコストがかかるため、ピトー管式流量計が有力な選択肢となります。流量計の中でもピトー管はシンプルで比較的低コストです。

ピトー管とオリフィスの配管内の流体の流れを比較した図を以下に示します。

ピトー管はオリフィスなど絞り形状の差圧式流量計に比べて圧力損失が非常に低いことが特徴です。気体の場合、発生する差圧は数十Paオーダーの微差圧です。ただし、差圧伝送器も微差圧用のものを選定する必要があるので注意してください。

流速と差圧の関係

流速と差圧の関係式はベルヌーイの式から導出されます。ピトー管に差圧ΔPが発生したときの流速Vは以下の式で表されます。

 V = K \sqrt{\dfrac{2 \Delta P}{\rho_a}}

ρaは流体の密度(kg/m2)で、Kはピトー管係数と呼ばれるピトー管固有の補正係数です。また、流速Vから逆にΔPを求める式は以下の通りです。

 \Delta P = \dfrac{\rho_a}{2} \left( \dfrac{V}{K} \right) ^2

オリフィスなど他の差圧式流量計と同じく差圧は流速の2乗に比例します。

ピトー管式流量計の設計に必要な情報

測定レンジ (Nm3/h)

プロセスの常用流量や最大流量より流量計のレンジを決めます。

ダクト径 (mm)

流量から流速を計算するときに使います。また、当然ピトー管のサイズを決めるためにもダクト径の情報は必須となります。

ピトー管係数

ピトー管固有の補正係数です。理想的なピトー管であれば1になりますが、実際の値はピトー管のサイズや形状によります。流量計メーカーから仕様書を貰うまで実際のピトー管係数はわかりませんが、気体の流量測定用だと大体、0.6~0.9くらいになるイメージです。

静圧Ps (kPa)

ダクト内の圧力のこと。

流体密度ρ0 (kg/Nm3)

標準状態における流体の密度。空気なら1.293 kg/Nm3。

流体温度T (℃)

流体の常用温度のこと。

その他(取付方法、取付サイズ、ピトー管径)

計算には必要ないですが、ピトー管製作には当然ながら取付サイズ(フランジorねじ)の指定も必要です。ピトー管の径は流量計メーカーにて決定されます。

流量Q(Nm3/h)から差圧(Pa)を求める方法

0~*** Nm3/hの流量計を製作したいとき、流量100%で差圧がいくらになるか検討する方法は以下の通りです。計算によって得られた差圧の情報は差圧伝送器を選定に使います。

標準状態における密度ρ0から実際の密度ρaを求める。

 \rho_a = \rho_0  \times \dfrac{101.325 + P_s}{101.325} \times \dfrac{273.15}{273.15 + T}

分母と分子に注意してください。また、上の式では圧力Psの単位は kPa としてください。

ノルマル流量Q0(Nm3/h)をアクチュアル流量Qa(m3/h)に変換する。

 Q_a = Q_0 \times \dfrac{\rho_0}{\rho_a}

ノルマル流量(1気圧、0℃における流量)をアクチュアル流量(圧力Ps、温度Tにおける流量)に変換します。

流量Qa(m3/h)から流速V(m/s)を求める。

 V = \dfrac{Q_a}{\pi (D/2)^2 \times 3600}

流量(m3/h)をダクト断面積で割って、3600で割れば流速(m/s)となる。

流速V(m/s)における発生差圧ΔP(Pa)を求める。

 \Delta P = \dfrac{\rho_a}{2} \left( \dfrac{V}{K} \right) ^2

ピトー管の関係式から差圧ΔPが計算されます。

計算例

以下の条件で差圧レンジがいくらになるかを計算してみました。

ダクト径:800A(約800mm)
測定レンジ:0~15,000 Nm3/h
流体:空気(ρ0 = 1.293 kg/Nm3)
ダクト内静圧:Ps = 3 kPa
流体温度:T = 100 ℃
ピトー管係数:0.8 と仮定する。

差圧レンジは 0~92.1 Pa となりました。よって、差圧伝送器の設定レンジは 0~92.1 Pa(0~15,000 Nm3/h)になります。

実際はピトー管係数によって差圧が変わるので、流量計の仕様書がメーカーから出てくるまでは正確な数字はわからないのですが自分で計算してみることで、どれくらいの差圧になるか見当が付きます。

ちなみに、現場に流量計を設置したあとに「流量の測定範囲を変更したい!」という場合、差圧伝送器のレンジ変更で対応可能です。

差圧は流量の2乗に比例します。もし流量の測定範囲を 15000 Nm3/h から 20000 Nm/h に変更したい場合、差圧伝送器の差圧レンジは

 \left( \dfrac{20000}{15000} \right) ^2 \times 92.1 = 163.7 \mathrm{\, Pa}

に変更すればOKです。厳密に言えばピトー管係数は流速やレイノルズ数に依存性があるらしいのですが、実際は同じピトー管なら補正係数は一定と考えて問題ないと思っています。

まとめ

ピトー管式流量計と特徴と差圧の計算方法について解説しました。

なお、流量計は設計温度、設計圧力に基づいた仕様であるため、実際の流体温度や圧力が変化するような環境では温度圧力補正が必要となります。補正の方法については以下の記事を参照してください。

electrical-instrumentation.com