脱炭素・カーボンニュートラルに関する用語解説

脱炭素・カーボンニュートラルに関する専門用語について解説します。

GHGプロコトル (Greenhouse Gas Protocol)

温室効果ガスの排出量を算定・報告する際の国際的な基準。Scope 1~3まで設定されている。詳細は以下の記事を参照。

electrical-instrumentation.com

CDP

CDPは英国を拠点とする国際的なNGOCDPの活動は、企業に気候変動対策について情報開示を促し、投資家や顧客企業に情報提供する仕組みを構築すること。わかりやすく図に示したものが以下です。

CDPは企業に対し気候変動対策に関する回答要請を行います。CDPは収集した情報をスコアリングした上で機関投資家や顧客企業に提供しています。回答する企業側のメリットしては、環境対策の情報を積極的に開示することで機関投資家からの評価が高くなったり社会的な企業イメージの向上に繋がります。CDPの情報開示には2万を超える企業が参加しており、CDPは環境対策におけるグローバルスタンダードとなっています。

SBT

Science Based Targetsの略で、温室効果ガス排出削減目標に関する国際的なイニシアチブ。正確にはSBTは企業目標のことを指し、イニシアチブを指す場合はSBTi (Science Based Targets initiative) とも言う。パリ協定が求める水準と整合するように、企業が設定する中期的(5~15年先)なGHG排出削減目標のことをSBTという。SBT認定を受けている企業はGHG排出削減目標を設定して毎年取り組みと結果の進捗をSBTiに報告している。

RE100

Renewable Energy 100%の略で、企業が事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアチブ。SBTは温室効果ガスに関する目標であるのに対し、RE100は電力の脱炭素化に特化している。SBTの企業目標は規模や業種によってバラバラだが、RE100はどの企業も「再エネ100%」が目標になる。

また、日本独自でRE Actionというのもある。RE100はグローバルな大企業が対象ですが、RE Actionでは中小企業も参加が出来る。大企業はSBT、RE100どちらのイニシアチブにも参加して脱炭素を推進しているというのが世の中の流れです。

地球温暖化対策推進法(温対法)

1998年に施行され、2024年に改正された地球温暖化対策に関する法律。温室効果ガスを一定量以上排出する事業者に対しては、温室効果ガス排出量を算定し国に報告することが義務付けている。

J-クレジット、カーボン・クレジット

J-クレジットとは日本国内の温室効果ガス排出削減・吸収量をカーボン・クレジットとして認証する制度。カーボン・クレジットとは温室効果ガス排出の削減量または吸収量を数値化し、取引可能な権利にしたもの。

カーボン・オフセット

ある場所で排出された温室効果ガスを、別の場所での削減・吸収活動で相殺(オフセット)すること。クレジットはカーボン・オフセットを実現するための「通貨」のような役割。温室効果ガスを排出した事業者は必要な量のクレジットを購入することで、排出量の相殺を行う。例えば…

  • Aさんが所有・管理する森林では温室効果ガスを年間100トン吸収している。
  • Bさんが経営する工場では年間100トンの温室効果ガス排出がある。
  • BさんはAさんから100トン分のクレジットを購入することで、工場のカーボン・ニュートラルを達成できる。

工場内で温室効果ガス排出量削減に取り組んでも、どうしてもこれ以上は削減できない部分が出てきます。どうしても削減できない排出量については、クレジットの購入によって相殺をするというのがカーボン・オフセットです。企業単位ではなく社会全体でカーボン・ニュートラルを目指すのがカーボン・オフセットの考え方です。