4~20mA信号の標準規格 NAMUR NE43

4~20mA伝送器の信号レベルに関する標準規格であるNAMUR NE43について紹介します。

NAMUR NE43とは?

伝送器の出力信号レベルに関する標準規格です。NAMURはドイツで設立されたプロセスオートメーションの国際的な協会です。伝送器の通常状態、異常状態の出力信号に関して標準的な考え方を規定しています。

NAMUR NE43における出力信号レベルを以下に示します。それぞれの状態について説明します。

通常時(4.0~20.0 mA)

計器やプロセスに異常がなければ通常この範囲内の電流信号が伝送器から出力されます。

オーバーレンジ(20.0~20.5 mA)、アンダーレンジ(3.8~4.0 mA)

計器故障ではないが通常のプロセス状態でないケース。例えば差圧伝送器にレンジ100%以上の圧力が加圧されるとオーバーレンジ状態となります。このとき出力信号は20.0mAを超えて、20.5mAでサチるイメージです。NAMUR NE43では20.5mAを標準としてますが、この飽和電流はメーカーによって設定が異なります。アンダーレンジも同様です。

計器異常時(3.6~3.8 mAまたは20.5~22 mA)

計器本体に異常があった場合(バーンアウト)はこれらの電流を出力させるという思想です。例えば「計器異常時:0%出力」の設定だと計器異常なのか測定値が0%なのか判別できません。なので計器異常時は通常起こり得ない信号を出力してDCS、PLC側にセンサー異常を伝えなければなりません。

ちなみに横河電機の圧力伝送器は工場出荷時の標準設定で、計器異常時21.6mA(110%)が出力されます。メーカーによって工場出荷時設定は異なりますが、これらは設定変更が可能です。バーンアウト方向をどちらに設定するかはプラントメーカー(ユーザー)各社の思想にもよるかと思います。

当然、信号を受け取るDCS、PLCもそのように設定する必要があります。例えば3.8mA以下もしくは20.5mA以上でセンサー異常と判別して警報を出力するよう設定しなければなりません。

配線異常時(0~3.6 mAまたは22 mA以上)

伝送器の出力範囲外であるため、DCS・PLCに入力される電流値がこれらの値になっているときは配線のほうに異常があると判断されます。

まとめ

4~20mA信号の標準規格であるNAMUR NE43について紹介しました。計装エンジニアであれば計器異常時のシステムの挙動は必ず考慮しなければなりません。NAMUR NE43の思想は伝送器やDCSソフトの設計をするときの一つの材料になるかと思います。