ブラシレス同期発電機の構成と動作原理

ブラシレス励磁方式の同期発電機の原理や構造について解説します。

ブラシレス同期発電機とは

ブラシレス同期発電機とはその名の通り、ブラシを用いない同期発電機のことです。直流励磁方式や静止形励磁方式、ブラシレスでない交流励磁方式はブラシが存在します。ブラシは摩耗しやすいので定期的なメンテが必要です。その点においてブラシのないブラシレス同期発電機は保守の面で優れています。

ただ、このブラシレス方式って構造を理解しにくいんですよね。テキストを見てもイメージがしにくい。どこが回転していて、どこが固定部なのかわかりづらい。というわけで今回、図で示しながら構造と動作原理を解説してみます。

発電機の構成図

まず、ブラシレス同期発電機の構成図を以下に示します。

EXは交流励磁機と書いてありますが、回転電機子形同期発電機のことです。ブラシレス同期発電機の励磁機は回転電機子形です。これは超重要です。通常の同期機は回転界磁形が多いですが、ブラシレス方式の励磁機はその逆で回転子が電機子、固定子が界磁です。ここを勘違いしないようにしましょう。

PMGは永久磁石発電機です。AVRの電源として利用します。AVRの電源を発電機出力や所内電源から取る方式もありますが、PMGがあれば回転エネルギーから電源を取ることが出来るため、ブラシレス同期発電機ではPMGを使う方式が多いです。PMGは永久磁石が界磁であるため特別な励磁回路は不要で、回転させてやるだけでOKです。

AVRは自動電圧調整装置と言って、発電電圧を一定に保つための装置です。常時、発電機の端子電圧を検出していて、設定電圧との偏差からフィードバック制御(界磁電流を調整)しているイメージです。発電機出力部分とAVRが変圧器を介して繋がっているのは発電機の電圧信号をAVRに送るためです。AVRの電源はPMGからです。

発電機の回路図

ブラシレス同期発電機の詳細な回路図を以下に示します。破線で囲った箇所が実際に回転している部分となります。※PMGは簡略化のため省略しました。

右から説明すると下記の通りです。

  1. 一番右は交流励磁機の界磁巻線で、この界磁電流はAVRによって調整されます。
  2. その左が交流励磁機の電機子巻線です。回転電機子が回転することによって励磁機の電機子に交流電圧・電流が発生します。励磁機の電機子は整流回路に繋がっています。
  3. 全波整流回路によって交流から直流に変換されます。
  4. 整流された直流電流は主発電機の界磁となります。※主発電機は回転界磁形。
  5. 主発電機の電機子に交流の電圧が発生します。

ブラシレス同期発電機の回転整流器には通常バリスタが取り付けられています。バリスタについて次項で解説します。

バリスタとは

バリスタとは半導体素子の一種で、印加電圧によって抵抗値が変化する素子です。ある一定の電圧を超えるまでは電流はほとんど流れなくて、電圧が一定値を超えると電流が流れる特性があります。避雷器と同じような感じですね。バリスタはアレスタとはちょっと特性が異なるのですが、今回説明は省きます。

ブラシレス同期発電機においてバリスタは、サージ電圧から整流器を保護するために使用されます。主に誘導雷対策として使われます。誘導雷のような雷サージが発生したときに整流器が故障しないようにバリスタが整流回路に設けられています。

ちなみに上の回路図にはバリスタが2個描いてありますが、実際の個数は発電機の諸々の条件によって決定されます。

回転整流器

ブラシレス同期発電機の回転部には複数のダイオードが円形に配置されています。発電機によって配置の仕方も異なりますが、超適当に絵を書くとこんな感じです。

「brushless generator rectifier wheel」とかで画像検索するとそれっぽい写真がいくつか出てきます。ダイオード同士は銅バーや銅リングで繋がっており、全波整流回路が構成されています。当然ながらダイオードは回転の遠心力に耐えるように取り付ける必要があります。

AVRの機能

AVRを自動電圧調整装置といいますが、実は力率や無効電力を調整する機能もあります。

電圧一定制御(AVR制御)

AVRの役割は上で述べたように発電機の電圧を端子一定に保つことです。常時電圧を監視しながら電圧の変動に対して上げ指令・下げ指令を出して界磁電流を調整します。

しかし発電機の端子電圧を制御できるのは自立運転(系統から解列)しているときの話です。系統連系している場合、電圧は系統側の電圧に依存します。同期発電機側で電圧を制御することはできません。したがって系統連系中は力率一定制御(APFR制御)または無効電力一定制御(AQR制御)で運転することになります。

力率一定制御(APFR制御)

力率一定制御ではAVRが発電機の電圧と電流を検出して無効電力を算出します。もし負荷側の有効電力が変化したら、それに応じて力率が一定となるように(=有効電力と無効電力のバランスを保つように)界磁電流を調整します。

無効電力一定制御(AQR制御)

無効電力一定制御では無効電力が設定値となるように界磁電流を調整します。力率一定制御と無効電力一定制御の違いは、制御したい対象が力率か無効電力かという違いだけで動作原理としては同じものです。

APFR制御またはAQR制御で運転中に系統から解列したときは自動的に制御モードがAVR制御(電圧一定制御)に切り替わります。

まとめ

ブラシレス同期発電機の構成と動作原理について解説しました。ブラシレス同期発電機では交流励磁機は回転電機子形であることを理解することがポイントです。

ただし、実際のところ私も実物を見て初めてちゃんと理解できたので、動作原理を完璧に理解するのはなかなか難しいと思います。なので回路図だけじゃわからないときは画像検索を駆使してみることをオススメします。

参考文献

株式会社明電舎「特集 同期機 原理・構造と制御方法」(PDFファイル)
https://www.meidensha.co.jp/kof/products/prod_03/prod_03_01/__icsFiles/afieldfile/2019/07/10/1-3-1_03_E-1-2_03.pdf