系統の負荷の周波数特性について疑問に思った話と解決した話をメモします。
電験のテキストには負荷の周波数特性について以下の内容が書かれています。
「負荷は周波数が上がると消費電力が増加し、周波数が下がると消費電力が減少する特性がある。負荷の周波数特性定数を とすると周波数変化量 に対する消費電力変化量 は以下の式で表される。」
\begin{align}
\Delta P_L = K_L \Delta f
\end{align}
平成23年の電験2種二次試験(電力・管理)にこの内容が出題されています。
上の文章を読んだとき自分は全く理解できませんでした。「負荷が変動したら需給バランスが崩れるから周波数が変動するんじゃないの?逆に周波数の変化で電力が変わることってある?」と思ってました。
ネットで調べてみても、どれも「そういう特性がある」と書いてあるだけで納得のいく説明が見つかりませんでした。そのことをツイッターに投稿したところ一瞬で解決しました。
世の中の負荷の半分弱は誘導電動機であり、誘導電動機の消費電力が周波数に影響を受けるからだと思います。
— がえ@電力🌊 (@photovoltic555) 2023年1月29日
世の中の負荷の半分くらいは電動機(回転機器)です。電動機の動力は系統周波数に依存するので、周波数の変化すると負荷の消費電力が変わるということです。消費電力が系統周波数によって変化する理由は、電動機の軸動力が変わるからなんですね。
電動機の軸動力 は トルク と 角速度 より以下の式で表されます。
\begin{align}
P = T \omega
\end{align}
角速度(回転速度)は系統周波数に依存します。なので、系統周波数が変化すると電動機の軸動力が変わって消費電力が変化するということです。これは電動機一般の話なので誘導電動機も同期電動機も同じ話です。ちなみにポンプやファンなどの2乗低減トルク負荷はトルクが回転速度の2乗に比例するので動力 は周波数の3乗に比例します。
「負荷が変動したら周波数が変化する」というのは発電機の立場で考えた場合の話ですね。例えば系統の負荷の一部が脱落したとするとその瞬間、発電>負荷の状態になるので発電機の回転数が上がる。その結果、周波数が増加する、というイメージです。